6/15〜6/17と埼玉県大宮で開催された獣医循環器学会に参加してきました。
様々な新しい知見を学ぶことができ、とても刺激になりました。
大学時代の師匠にも久しぶりに会えて、有意義な時間を過ごしました。
今大会の中で最も注目されていたのはヨーロッパで行われたVALVEstudyという研究です。
僧帽弁閉鎖不全症は中高齢の犬に最も多い心疾患で、ACE阻害剤、ピモベンダン、フロセミド(利尿剤)、が現在治療の3本柱となっています。今回のVALVEstudyはその僧帽弁閉鎖不全症の犬におけるACE阻害剤の有用性についての研究ですが、その研究結果としてはピモベンダン+フロセミド VS ACE阻害剤+ピモベンダン+フロセミドでは生存期間に優位な差が認められなかったという報告です。
これはかなり衝撃的な報告です。
しかし、日本では5kg以下の犬が多いのに、この実験では5kg以下の犬を除外している(海外では大型犬が多いので)事を考えると、日本でのケースにそのまま当てはまるとも言えませんし、この実験ではすでにかなりの割合が肺水腫を呈していたので、肺水腫を呈していないステージB1やB2においてもそのまま当てはまるとも言えない可能性もあります。また、逆にACE阻害剤の有効性を示した過去の実験結果も多く存在します。
今後おそらく国内外でACE阻害剤に関する研究が進められ、近いうちに僧帽弁閉鎖不全症の治療に大きな転換点を迎える可能性が高いと思われます。目が離せません。
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