犬猫の尿比重について
ペットの三大疾患というものがあります。
「心臓病」「腎臓病」「腫瘍」です。
一般的には心臓病は小型犬に多く見られ、腎臓病は猫に多く見られます。
猫の死因としてはがんが1位で、腎不全が2位で、伝染性腹膜炎が3位と言われています。
言葉で話さない動物の体調変化はなかなか見えにくいものです。
腎不全は腎臓の機能が長い年月をかけて徐々に低下していくことで起こります。シニア猫に多い病気のひとつで3匹に1匹のシニア猫は腎臓病と言われています。気づいたときにはかなり重症になっていることが多い病気で早期発見が重要と言われています。
腎臓病は治らない
この病気は徐々に進行してゆき、腎臓の機能の75%が障害されるまでは目立った臨床症状を引き起こしません。気づいたときにはかなり進行しているのがこの病気の特徴です。一度失われた腎臓の機能は回復しないので早期発見・早期治療が重要です。
尿比重とは尿の重さをはかります。
比重が低いという事は、薄い尿が出ているという事になります。ペットがどれくらい水を飲んでいるか、いまのんでいる水が足りているかを判断する一つの材料です。
①お水の量は足りていますか?
これから寒くなるとお水を飲む量が減ったりします。もともとあまり水を飲まないこともあります。
②尿比重の基準値
足りているかどうかは尿量で判断することが多いです。尿比重とはお水を1.000としたときに尿はどれくらいの不純物が入っているかを調べた検査項目の一つです。
尿比重の異常値
※季節によっても変動があります。
犬:1.030~1.045
猫:1.035~1.040
お水を多く飲むほど尿比重が下がり、脱水の状態になると尿比重が上がります。
③尿比重の異常
尿比重が高いとき
・多くの場合脱水が考えられます。(必要なお水が少なくなっているとき→体に水分が足りていないからです。)
・不純物があるとか高くなります。(通常、体内の老廃物を尿として排出しています。結石、血尿、糖尿病での糖分などで高くなります。)
尿比重が低いとき
・正常値より下回る場合は、尿の濃縮能力を低下させてしまう腎不全などの疾患が考えられます。
・腎臓病、糖尿病、クッシング症候群などの疾患があると尿比重は低下します。
・お水を沢山飲むような病気があると尿比重は下がります。逆に考えれば尿比重が低いときは上記の疾患を疑ってゆきます。
1日にどれくらいの水が必要か
犬 20~90ml/kg/日
猫 0~45ml/kg/日
例)5㎏の子の場合100ml
検査機器
尿比重というのは腎臓のろ過・吸収機能の指標となるもので約50%の腎機能の低下で尿比重の低下が見られます。
血液検査よりも早期に診断が可能な訳です。
この尿比重の検査に用いるのは屈折系と言われるものです。
早期発見のために検査を
ペットが長生きするために定期的な尿のチェックで病気の早期発見をすることが重要です。微妙な体調変化を見逃さないようにしましょう。
近年、犬や猫の高齢化が進み、年齢とともに増加する病気を見かけることが多くなりました。
慢性腎臓病の発祥は非常に多く、最も身近な病気の一つとされています。
早くに腎臓病に気付くには尿検査が重要です。