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心室中隔欠損

 

こんにちは

院長のHです。

今回はブリーダーさんから来た0歳1カ月のワンちゃんの心室中隔欠損症(VSD)の症例です。

仔犬(画像はイメージです)

ワクチン接種の際に心臓に雑音が聴取されました。心エコー図検査をしたところ、心室中隔欠損症(VSD)2型である事が分かりました。

心室中隔欠損症(VSD)とは生まれつき右心室と左心室の隔壁の穴が開いてしまっているため、短絡血流がおこるという病気です。

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上は短絡血流の波形です。5m/sあるので肺高血圧症にはなっていなさそうです。この症例は心拡大が無いので治療の必要はなく、成長とともに自然閉鎖を待つことになります。

しかし短絡量が多い場合は外科手術を考慮します。

この病気は肺血流が増えてしまうので、肺高血圧症になってしまっている場合はその治療が必要になります。

若齢のワンちゃんに起こる心臓病は先天的な奇形が多いです。最近はペットショップに来る前にしっかり聴診されて来るケースが多いので殆ど見なくなりましたが、ブリーダーさんやお家で生まれた子は注意が必要です。

ココロよしざき動物病院 H

椎間板ヘルニア

こんにちは

院長のHです。

今回は手術画像が入っているので苦手な方はご注意くださいませ。

また椎間板ヘルニアの話題です。

前回BLOGでご紹介したGrade5のワンコは術後、時間はかかったものの左足の麻痺は改善し、不完全なりにも歩行可能となりました。

日々、椎間板ヘルニアのワンコは多く診ていますが、麻痺が強く出ているようなGradeが高いケースはやはり手術でなければ治すことができません。

今回のわんこはGrade4。すなはち痛みはかろうじて感じるが全く動かすことができない麻痺の状態です。もちろん自力で排尿、排便もできません。

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MRI検査で病変を特定し、片側椎弓切除術をすることとなりました。

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赤矢印のように骨を削り、圧迫しているヘルニアを取り出します。P1130497P1130533

切除されたヘルニアです。取り出してみるととても小さく感じますが、このせいで重度の麻痺が起こっていたのです。

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手術は無事に乗り越えました。これからはリハビリが始まります。長くなるかもしれないけども頑張ろう!

追加‥

後日しっかり立てるようになりました。

 77AED17E-E629-4DC7-8066-9ED0F479D281まだまだ歩行は困難ですが、比較的早い回復です。引き続きリハビリを頑張ろう!

超音波検査

 

こんにちは、院長のHです。

今回は超音波検査について(また)ご紹介いたします。
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超音波検査では腹部及び心臓に問題がないかを検査できます。

脾臓マス

上は脾臓の腫瘍です。分かりにくいので線でなぞるとこのような感じです。脾臓マス2

およそ1cmと小さいですので、超音波検査をしない限りは発見できません。

膀胱マス

上はおよそ1cmの膀胱の腫瘍です。

膀胱の腫瘍はカテーテルで腫瘍細胞の採取を行い、良性か悪性かを判断します。

上の症例はどれも一切の症状はございませんでしたが、健康診断で偶然発見することが出来たケースです。

なので、

どんな病気でも早期発見、早期治療が一番ですので超音波検査での健康診断は非常にお勧めです。

ワンちゃん、ネコちゃんの病気の進行はヒトよりも3〜4倍と圧倒的に速いですので定期的な健康診断を!

お気軽にご相談くださいませ。

予防の季節

こんにちは!
毎年恒例のフィラリア検査と狂犬病のワクチン接種の時期ですね!

 

フィラリアとはフィラリアにかかった蚊が犬を刺す事で移る病気です。

最近は地球温暖化が進み蚊が活動する時期もだんだんと長くなっています。

室内飼いのわんちゃんもフィラリアにかかってしまいます。予防薬を飲んでしっかり予防しましょう!

※お薬の処方は採血をする検査が必要です

フィラリア検査で使った血液を使ってプラス1500円で血液検査の健康診断も可能です!

動物は人よりも早く歳をとっていくと言われています。なのでシニアの子はもちろん、健康な子も年に1回は検査をおすすめします。ご希望の方は是非お申し付け下さい!

 

しかし、今は新型コロナウイルスが流行っていますので落ち着いてからでも構いません。

日々、不安な中の生活になりますが、みなさまも体調には気をつけてください!

ココロよしざき動物病院 Z

SDMA

こんにちは

院長のHです。

今回は腎臓病の早期診断に用いるSDMAをお話ししたいと思います。

腎臓病はワンちゃん、ネコちゃんともに非常に多い病気です。

簡単に言うと尿が濃縮できなくなり毒素が排出できなくなる病気です。

従来では腎臓病の診断には昔からBUN(尿素窒素)、Cre(クレアチニン)が血液検査で用いられていましたがこれらは腎臓の75%がダメージを受けないと異常値として出ませんでした。

すなはち腎臓全体の75%が傷害されないと異常なしと認識してしまっていた可能性があったのです。

しかしここ最近、早期診断のマーカーであるSDMAが登場し、腎臓の25%~40%が傷害された時点で検出することができました。

これにより腎臓病を従来より数ヶ月~数年早く診断し、早期に治療することが可能となりました。

SDMA

画像はIDEXX HPより

以前は外注検査のみで結果に10日程度時間が必要でしたが現在は院内で迅速に結果を得ることが出来るようになりました。カタリストONE

腎臓病の症状は

①尿量、飲水量が増える

②尿が薄くなる

③食欲、元気が無くなる、やせてくる 等です。

ご心配な方はお気軽にご相談くださいませ。

 

 

手術実績を更新いたしました。

こんにちは

院長のHです。

今年もフィラリア予防のシーズンが近づいてまいりました。

近年は蚊の発生時期が早くなっているため5月1日には予防薬の投与を開始した方がいいかと思われます。

フィラリア予防開始

マダニにより媒介されるSFTSの発生も問題となっております。マダニ予防もお忘れないようにお願い致します。

お早めにご相談くださいませ。

ノミダニ忘れずに

手術についてのページにおいて

当院における手術実績を掲載いたしました。

手術について

http://ah-cocoro.com/infertility/

医療機器の導入やスタッフの増加により多くの手術に対応可能となりました。

どうぞご覧くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

 

口腔の腫瘍

 

こんにちは

院長のHです。

今回ご紹介するのは口に悪性腫瘍が出来てしまったワンちゃんです。

はじめは口に腫れや出血があるということでご来院され、しこりが発見されました。

その後採取した組織での病理検査結果は「悪性黒色腫」すなはちメラノーマと呼ばれるものでした。

下顎マス

悪性黒色腫は非常に転移や再発をしやすいがんですが、幸いCT検査の結果肺転移はありませんでした。

外科手術が主な選択肢となりますが、外科手術を行う場合は顎の骨ごと切除することとなります。

放射線治療も選択肢のひとつです。低分割放射線治療といって週一回の照射となりますので、毎週放射線治療装置のある病院まで行っていただくこととなります。

LINAC

※画像は岐阜大学動物病院

このワンちゃんは外科手術が適応となり、下顎部分切除術が行われました。

下顎マス2

ドリルを使っての切除となりました。

ドリル

高齢ということでしたが手術を無事に乗り切ってくれました。術後もあまり外貌に変化は無く、摂食も問題なく、今のところ転移や再発も無く元気に過ごしております。今後は転移や再発が無い事を祈りつつ、定期チェックをしてゆく形となります。

最近は腫瘍の症例が増えています。完治が望めないケースも多く、治療方針の決定には非常に時間がかかります。

治療の選択肢も多岐に渡り、どれが正解ともいえない状況も多いです。飼い主様(ワンちゃん含め)、当院スタッフの二人三脚で理想的な治療方針を決定してゆこうと思います。

お気軽にご相談くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

 

2020年

皆様

新年あけましておめでとうございます。

本年もスタッフ一同飼い主様と動物のため全力を尽くしてまいりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

旧年は心臓病や腫瘍が非常に多かったと思います。

2019年最後の手術も皮膚の癌の摘出手術で、年始一件目の手術も顎の癌の摘出手術でした。

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セカンドオピニオンも多く、患者様の健康、病気に対する意識の向上を非常に感じる一年でした。

日進月歩で進歩する獣医療と高まる飼い主様のニーズにお答えすべく今年も精進してまいります。

今年もどうぞよろしくお願い致します。

P1110310P1110380院長 H

 

胆嚢のトラブル

 今回は手術写真があります。ニガテな方はご注意くださいませ。

ワンチャン、ネコちゃんに非常に多いのが胆嚢のトラブルです。

胆泥症や、重度な場合胆管閉塞や胆嚢粘液嚢腫など、命に関わる問題に発展するケースがございます。

今回ご紹介するのはその胆嚢粘液嚢腫になってしまったアメリカンコッカーさんです。

血液検査上で肝臓の数値が上昇しており、超音波検査をしたところ、キウイフルーツ状となっており、胆嚢粘液嚢腫と診断致しました。

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今後破裂等を起こすリスクがあるため、飼い主様は切除手術を選択されました。gb2

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手術中、手術後の経過は問題なく、元気に退院して行きました。

飼い主様は当初もちろん手術に抵抗があり、とても心配されていましたが、破裂のリスクが無くなり、安心して年越しが出来ると喜んでおられました。

今まで多くの胆嚢切除術を行いましたが、幸いみな経過良好です。

過去には胆嚢破裂や胆管閉塞で手術の甲斐なく助けられなかった子達も多く見てきましたので、胆嚢のトラブルを見ると必ずそういったケースが頭をよぎります。

今後もご家族には適切にリスクを説明し、治療方針を場合によっては手術も含め提案できればと手技を洗練してまいります。

お気軽にご相談くださいませ。

院長 H