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超音波検査での心不全の検出について

みなさまこんにちは。

院長のHです。

最近は予約が取りづらく申し訳ございません。また予約のない方は待ち時間が長くなっており大変申し訳ございません。可能な限りスムーズにご案内できる様努めてまいります。

獣医師は現在3人体制(土曜日は4人)で行っております。これからも人員拡充を行い、可能な限りご要望をお答えできる様努めて参ります。

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最近は高齢化に伴い心臓病の診断が非常に増え、遺伝的な心臓病も散見されます。心臓病と言えない程度の、ただただ心筋が加齢性に「カタく」なっているせいで点滴や投薬の負荷にも耐えられないというケースもあると思います。

心臓病の子に関して、苦しんでいる原因が心臓病のせいなのか、はたまた心臓はまだ余力があり頑張れるのかという事は検査をしてもなかなか分からないことが多いです。

「利尿剤で心臓病の治療をすることが果たしてこの子にとって有益なのか?」と非常に悩むことも多いです。

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しかし、最近非常に有用な診断基準が一つ研究で発見されました。

血管(後大静脈)のサイズの変化が右心不全の有無と強い相関があることが明らかになりました。(”Ultrasonographic evaluation of the caudal vena cava in dogs with right-sided heart disease.” 
Journal of Veterinary Cardiology 34 (2021): 80-92.)

正常な子の後大静脈は呼吸とともに50%ほど大きくなったり小さくなったりするのですが、

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右心不全でうっ血した子のそれは大きいままなのです。

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これは非常に高い相関性が認められたようです。

これは超音波検査で比較的簡単に確認することができるものですので、早期に診断・治療を行うきっかけになると思います。

右心不全は腹水、胸水が貯留し場合によっては死に至る非常に危険な状態ですので、少しでも早期のアプローチができるようにこの診断法を活用してゆこうと思います。

ココロよしざき動物病院 H

新しい手術モニターを導入しました。

 

みなさまこんにちは。院長のHです。

新しい生体モニターであるLifeScope VS を導入致しました。

LifeScope

手術中、麻酔中に主に用いる生体モニターです。

 

麻酔はよく「飛行機の操縦」と例えられていて、

離陸(麻酔導入)➡飛行(麻酔中)➡着陸(覚醒)

のプロセスがあり、そのためのコックピットの計器みたいなものです。

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やはり飛行機の操縦と同じで(したことはないですが・・)離陸と着陸において危ないことが多いので非常に気を使います。

麻酔の安全性は設備の充実度や麻酔科医に非常に左右されると思います。

生体モニターはとても重要な機械です。


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少しでも安心、安全な麻酔ができるよう今後も努めてまいります。

 

ココロよしざき動物病院 H

新任獣医師のご紹介

2021年4月より勤務を開始いたしました新しい獣医師のご紹介です。

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藤本獣医師

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〇藤本獣医師

2021年度 酪農学園大学 獣医学部 卒業

みなさまこんにちは。

ご挨拶が遅くなってしまい申し訳ありません。
もう本院にてお会いした方もいらっしゃるとは思いますが、
今年度の4月よりココロよしざき動物病院にて勤務させていただくことになりました、獣医師の藤本といいます。

大学では、伴侶動物循環器内科学教室に所属し、診療に携わっていました。

まだまだ未熟者のため、獣医師としての知識や技術を日々学んでいます。
1日でも早く一人前になって、皆さまのご家族である動物達を多くの病気から救えるような獣医師になりたいと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。

 

狂犬病予防の必要性

 

 

みなさまこんにちは。

令和3年度狂犬病予防のシーズンとなりました。

狂犬病予防注射は法律で義務付けられているのですが、

「狂犬病って注射しなきゃいけないの?」「狂犬病って日本では無いんでしょ?」というお話をよくいただきます。

ここで少しだけ必要性に関して少しお話させていただこうと思います。165 - 2

狂犬病はウイルスによる伝染病です。唾液中にウイルスがいるので、犬に噛まれて感染することがあります。

世界では年間約5万人が死亡し、発症するとほぼ100%死亡するとい言われています。

ウイルスは神経に感染し、感染した犬は異常行動を来し、狂騒状態となることがあり、恐水症という水を怖がる症状が出ることもあります。これは人も一緒です。

(日本獣医師会より)

大学時代、授業で狂犬病を発症した人の映像を見て、非常に恐ろしく、トラウマものでした。一生忘れられません・・・・。

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上の地図の赤の地域は蔓延している地域です。幸い日本は緑の清浄国ですが、近隣のロシアや東南アジアからは侵入のリスクが常にある状況です。

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そこで、いつウイルスの侵入があっても国内でウイルスが広がらないように一定割合以上の個体に抗体(バリヤー)を持たせる必要があるのです。 175

 

幸い、狂犬病予防法が施行され、注射が義務付けられて1956年以降は海外で噛まれた人の帰国後発症を除き、今日まで発生を許していません。

(日本獣医師会より)

狂犬病予防はワンちゃん一頭一頭を守るというよりも、ワンちゃんと安心に暮らすためのこの日本を守るという意味合いが強いのです。実際、狂犬病ワクチンを接種しなくてもこの日本においてはほぼ感染しないと思われます(義務付けられてますが)。しかしそういった方が増えて抗体の保有率が低下した暁には海外からウイルスが侵入し、ワンちゃんを気軽に触ることができない、そんな社会になってしまいます。

178 - 2日本は英国、オーストラリア、ニュージーランド、北欧などと同じ、わずか数少ない狂犬病の清浄国です。

そんな日本を誇りに思います。この社会を守るために、後世へ伝えてゆくために狂犬病ワクチンの接種は非常に重要と思います。

 

※予防接種は午前中が望ましく、18時以降の接種はお断りさせていただく場合があります。

※ワンちゃんの健康状態によっては予防接種を免除できる場合があります。その場合は獣医師の診断が必要となりますのでご相談くださいませ。

 

ご不明な点はご相談くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

 

肝胆道疾患にご注意

 みなさまこんにちは。

ブログの更新がなかなかできずに申し訳ございませんでした。

先月は手術が非常に多かったです・・・中には深夜に行ったものもありました。

その中でも多かったのが肝臓・胆嚢の手術でした。

肝臓・胆嚢は「沈黙の臓器」と言われており、病気がかなり進行するまで症状が出ないことがあります。

たとえ胆石や腫瘍などでもワンちゃん、ネコちゃんは無症状であることが多いのです。

正直、血液検査や画像診断をしないと気づけません。

気づいたときには破裂や閉塞を起こしてしまっており、緊急手術が必要になるケースも多くございます。

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そうならないためにも定期的な健康診断をお勧めいたします。

血液検査

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エコー・レントゲン検査

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で多くの病気は早期発見できます。

フィラリア検査と同時に健康診断を行うことを強くお勧めいたします。

春はたった1,500円で血液生化学検査を実施できます。(通常は6000~7000円ほどかかる内容です。詳しくはお問い合わせください。)

早期発見・予防に勝る治療はございません。

ぜひ、この機会にご相談くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

 

耳のトラブル

皆様こんにちは。

最近は耳のトラブルを非常に多く見る機会が多く、

難治性の外耳炎・中耳炎に対して麻酔下での耳道洗浄、鼓室胞洗浄をすることも非常に多いです。

そもそも

ワンちゃん、ネコちゃんも耳のトラブルが多い理由は

犬や猫の耳道は人と違ってL字に曲がっており奥まで見えないからなんです!

耳のつくり

(VirbacJapanより)

こういった構造上の理由により、耳の奥に潜んでいる問題が見過ごされることが多くあります。

ワンちゃん、ネコちゃんは言葉では表現しませんが、外耳炎が慢性化して悪化すると痒みや違和感はもちろん、頭痛がしたり、攻撃的になることもあるようです。

耳垢が多くなって悪臭を放つようになって気づいたころにはかなり進行してしまっていることが多いですが、

耳鏡(ビデオオトスコープ)により早期発見できるようになって参りました。

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正常な鼓膜ですが、鼓膜に毛が刺さってます。これが本人にとってどこまで違和感があるかは分かりませんが、人だとガサゴソ違和感があると言われているようです。ひどい場合は「刺毛性鼓膜炎」になってしまいます。無題

 一方で下は中耳炎の耳です。鼓膜が破れ、チーズ様の耳垢の塊が中耳を占めています。これは簡単に取り除くことはできませんし、こうなってしまえばいくら点耳薬をしても治りません・・・

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カテーテルで洗浄してゆきます。洗浄液を灌流させながらひとつひとつ剝がしてゆきます。デリケートな場所なので慎重に行います。

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綺麗な鼓室胞になりました。ここまでやるには相当な時間がかかります・・・・これでようやく抗生物質が有効に使えるようになります。436DFC47-E548-4699-9EEC-BAFFF4EAF246

 

今まで耳を気にしたことのない子でも、特に臭いなどのない子でも定期的に確認することをお勧めいたします。

P1180375Resize耳鏡(ビデオオトスコープ)で耳の中を見るだけなら基本的に麻酔は必要ございません。

お気軽にご相談くださいませ!

ココロよしざき動物病院 林

 

 

麻酔リスクに関して

皆様こんにちは

今回は麻酔のリスクに関してのお話をさせていただきます。

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病気の子はもちろん、避妊・去勢手術などでもそうですが、

今や麻酔は避けて通れないものとなっております。

当然、飼い主様の多くは「麻酔って大丈夫なの?」と心配しておられると思います。

実際、麻酔のリスクはゼロではないんです。

アメリカ麻酔学会のASA分類に基づき術前の状態を5つに分類し、それぞれのクラスに関しての麻酔リスクを表にお示しいたします。

健康な子の避妊や去勢の麻酔リスクでも0.1~0.5%程度あるといわれています。

もちろん心臓病や腎臓病などの重たい病気の場合の手術はもっとリスクは上がることとなります。

これは少し古いデータですので、現在は麻酔器・麻酔薬の改良によりもっと低いですが、実際にこのような現状があるという事はお伝えしなければならないと思います。

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当院は年間約400例の麻酔が行われておりますが、1日の麻酔件数に制限をかけて人手不足にならないように致しております。

また最新の麻酔器・最新の麻酔薬を用いて最大限安心・安全な麻酔を提供できるように努めております。オペ室

 ↑Drager社製FabiusPlus (麻酔器)

麻酔中は呼吸が止まってしまうことが多く、人工呼吸器を用いることが多いのですが、肺を加圧するタイプの換気では心臓・肺への負担が大きくなってしまうのです。

しかし当院に導入しているの麻酔器・人工呼吸器である Drager Fabius Plus にはSIMVモードというものがあり、動物の自発呼吸をなるべく温存し(非常に重要!)、自発呼吸が弱い子でもそれに合わせて補助換気することができ、血液循環や心臓、肺への負担を最低限にすることができます。

ご不明な点はお気兼ねなくご相談くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

OPE件数を更新いたしました


皆様こんにちは

院長のHです。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020年(昨年)の「当院における手術件数」を更新いたしました。

機器・設備の拡充に伴い様々な手術に対応可能となり、手術件数は年々増加しております。

骨折や膝蓋骨脱臼などの整形外科手術に関してはミネルバ動物病院 田中院長(外科認定医)のご協力のもと行っております。

どうぞご覧くださいませ。

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院長 H

 

オス猫ちゃんは要注意!猫の下部尿路疾患(FLUTD)について

今回は手術の写真があるので苦手な方はご遠慮くださいませ。

こんにちは、院長のHです。

非常に寒くなってまいりました。

毎年冬になると増える病気に一つに猫ちゃんの「下部尿路疾患」というものがあります。

膀胱炎膀胱結石などをまとめたものの総称ですが、これらは両方同時に起こることが非常に多いのでこのように呼ばれています。

原因、発症要因としてはストレス肥満運動不足、水分の摂取不足があるとは言われていますが、基本的には原因不明です。冬は水分の摂取量が減るから多くなるともいわれています。

症状としては

おしっこが出しにくそう、トイレで鳴く

血尿が出る

何度もトイレでおしっこをする

トイレ出ない場所でおしっこをするようになった

などです。なかでも、おしっこを出したいけど出せていないケースは尿道閉塞の可能性があり急性腎不全になってしまうため非常に危険です。

膀胱結石はもちろん尿道閉塞を引き起こしうるのですが、膀胱炎により膀胱内に発生する細胞や血液が塊となり栓子と呼ばれるプラグを作り、それが尿道閉塞を起こしてしまうこともあります。

特にオスの猫ちゃんは尿道が細いので、閉塞しやすく注意が必要です。もし閉塞してしまっている場合は緊急処置が必要になります。

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尿道閉塞の処置に用いるOlive Tip カテーテルです。

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治療は主に抗炎症剤食事療法となります。ストレスをかけないことと、ダイエットも再発防止には重要です。

パッケージ画像 ユリナリーS/O+CLT ドライ

食事療法に主に用いられるのはロイヤルカナンユリナリーS/O+CLTです。

しかし再発を繰り返す場合や尿道の損傷がひどい場合は尿道の開口部を広く広げる「会陰尿道作瘻術」で治療を行うこととなります。

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手術後はペニスがなくなり、メスの猫ちゃんのような広い尿道開口部となります。これで再度結石や栓子が出来ても尿道閉塞が再発する可能性は低くなります。
67D966F3-FAF3-43AF-852C-DD63FD7FE0FC術後1か月のお尻です。

猫の特発性膀胱炎を予防するためには

①トイレを清潔に保つ

トイレは静かで明るい開放的な場所を選んであげましょう。多頭飼育のお宅は猫ちゃんの数以上のトイレを用意してあげてください。

②キャットタワーなどを設置して運動量を増やす

ダイエットも重要です。

③ストレスを緩和してあげる

猫は環境の変化に敏感です。知らない場所や知らない人と会う際に非常にストレスを感じますので、隠れられるような安心できる場所を確保してあげてください。

④水を多く飲ませる

猫は新鮮な水を好みます。 水をまめに変えてあげましょう。循環式の流れる水が好きな子もいますので色々と工夫してあげてください。

猫ちゃん(特にオス猫ちゃん)は毎日ちゃんとおしっこが出ているかを確認してあげてください。もし上記の症状が当てはまる場合はお早めにご相談くださいませ。

ココロよしざき動物病院 H

外耳炎とアレルギー

外耳炎に悩まされたことのあるワンコは多いと思います。

耳の中は覗きにくく、直接見えないので異変に気付きづらく、注意が必要です。

そんな外耳炎、実はアレルギーやアトピーが原因である場合が多いのです。

外耳炎に罹患した犬の90%アトピー性皮膚炎食物アレルギーの関与が認められているとの報告があります。

さらに、そのアトピー性皮膚炎食物アレルギーの患者さんの半数近くは最初に病変が現れる場所が耳であり、まれに耳にしか症状が現れないこともあるとも言われています。(Jennifer L,Motousek the veterinary clinics of North America 2004)

すなはち、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーの早期発見のためには若いうちから耳はマメにチェックすべきであるという事です。

下はオトスコープで見た外耳道の画像です。

 

正常鼓膜

↑これは正常な外耳道です。奥にはきれいな鼓膜が見えます。

外耳炎

↑食物アレルギーのワンコの外耳炎です。黄色い耳垢が鼓膜の周囲に集まっています。嚢胞2

↑こちらは非常に悪化した外耳炎です。ボコボコに過形成が見られます。こういったケースではより耳垢が溜まりやすくなります。

 耳を定期的にチェックすることは非常に重要です。

自宅では定期的に耳を覗き、耳垢が出てきている場合は指の届く範囲でティッシュで優しく取り除くようにしてください。

基本的に奥のほうを綿棒で掃除する必要はありません。洗浄液はVirbac社のエピオティックペプチドがお勧めです。洗浄効果が非常に高く、皮膚にやさしいです。洗浄方法はHPをご覧ください。詳しくムービーで説明してあります。

 奥からどんどん黒い耳垢が出てくる場合や赤くはれている場合は病院での治療が必要な場合があります。慢性再発性の場合はアレルギーの関与の可能性もあるので、ご相談ください。

ココロよしざき動物病院 H